究極のファッションとは何か
究極のファッションとは何か───。
世界中のファッションリーダー達が、今尚その答えに辿り着けずにいる永遠のテーマである。
この僕もファッションリーダーなどと呼ばれて久しい。究極のファッションを追い求めて、オシャレに投資した額は20000円以上。ファッション業界の常識を覆すコーディネートをいくつも発信してきた僕でも、やはり究極のファッションとなるとその明確な答えは見出せずにいた。
しかしつい先日、これこそが答えなのではないかというものに辿り着いた。究極のファッション。完全無欠のコーディネートに。
首には白無地の手拭いをシンプルに結び、トップスはよれよれの黒無地VネックT(ドライメッシュ)、ボトムスは履き古したジャージ。
これだけだ。たったこれだけなのだが、これこそがファッション業界を震撼せしめるレベルの究極のファッションなのではないか。自信満々に語りたい。
ポイントは、機能性とダサさだ。
首元に結んだ手拭いは、その結び目の先の絶妙な長さによって顔の汗や鼻水を丁度よく拭えるし、口から流れ出るよだれもカバーできる。VネックTとジャージは、黒の組織の刺客に突然追いかけられても逃げやすいし、戦闘になっても上段蹴りの使用はもちろん三角絞めの邪魔にもならない。いざとなればどこでも心地よく寝られそうな安心感も兼ね備えている。
これら抜群の機能性に加え、このダサさ。苦学生の部屋着を彷彿とさせるコーディネートは都会の中で一際目を引く。都会でおしゃれをするのは当たり前。むしろ服装に力を入れれば入れるほど、逆に都会へのコンプレックスを抱く地方出身者であることを自ら露呈しているようなものだ。それに比べこのコーディネートは、都会は俺の庭だと言わんばかりの精神的余裕を全面に押し出している。場に支配されない圧倒的カジュアル感は、都会ではおしゃれに気を遣わなければならないという不文律に一石を投じている。
どうだろう。
ファッションを超越したファッション。まさにアルティメット。ピーコのファッションチェックでは絶賛の嵐、レディガガもびっくりのファッションモンスターだ。
来年あたりレッドカーペットでハリウッド俳優の誰かが着ていること請け合いだろう。
服とか買いに行くのって究極にダルくないですか?
おわり