ぱいんはうす岸英明の「世界はグーチョキ天パー」ブログ

ぱいんはうすの岸英明です!悩める天然パーマ達の味方です!世界はグーチョキパーで皆違うからあいこでしょ?ふんわり日常の思ったことを書いていきます。

中高生にとっての流行の音楽の知識

中高生にとって学校における重要なステータスと言えば、「顔・髪型・制服の着こなし・運動神経・所属している部活動」がある。これらの総合力がそのまま学校内での実力であることは皆さんご存知のことと思う。

 

しかし、上記の項目以外に重要な隠しパラメーターが存在する。

 

「流行りの音楽の知識」だ。

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所謂イケている生徒達は、日々会話の中でこの辺りの探り合いをしている。そこで無知をさらけ出し恥をかくことは自分の地位を下げることにつながる。だからカウントダウンTVなどの音楽番組は欠かさずチェックするわけである。

 

しかし、そうしたグループに属さない、僕みたいな人間は今どんな曲が流行っているかなど知らないし、興味もない。つまらない音楽番組なんかよりドラえもんクレヨンしんちゃんを見る。それこそが男子中学生の本懐だと思っていた。

 

それまで、音楽の知識の有無が自分に影響を与えることなどないと思ってきた。

 

しかし、ある日突然その時はやってきた。

 

中学2年の時、いきなり、「給食の時間にかける曲のリクエストを取る」という名目のアンケートをクラス全体に配り始めたのである。しかも、完全記名式な上にその場で記入しろと言うのだ。生徒会が決めたことなのだろうが、余りにもデリカシーがない。初対面の女性に下着の色を尋ねるがごとき下衆な行為。


僕は焦った。


流行りの曲など何も知らない。


そもそも曲をほとんど知らない。


かろうじて知っている曲と言えば、「ポケモン言えるかな?」と「とりかえっこプリーズ」あとは学校で歌ったことのある曲を少し、その程度だ。

さすがに中学2年生で、小学校のときに流行ったポケモンの曲を書くわけにはいかない。

 

アンケート用紙には、氏名と曲名とアーティストを記入する欄があった。


僕はわからなかった。


「アーティスト」ってなんなの???


え??芸術家???


なになに???


作曲者??作詞者??歌手???もしくは全部??どれ???


音楽の知識が乏しい僕はそれすらも理解できなかったのである。


どうすればいい?どうする岸英明??


脳がフル回転した。


俺ならできるはずだ。考えろ。考えるんだ!!!


何も出てこない。


それもそのはずだ。何も知らないのだから。


アンケート記入のタイムアップが迫っていた。


僕は大量の冷や汗をかき、唇は紫色になり、目は血走っていた。


頭の中ではそれまでの短い人生の走馬灯とともに、BGMが流れている。BGMはもちろん「ポケモン言えるかな?」と「とりかえっこプリーズ」だ。何故なら、その曲しか知らないからだ。


もうだめだ・・・。


諦めかけたその時、前日テレビでちらっと見かけた映像が脳裏をよぎった。たしか「夜空ノムコウ」を「スガシカオ」という人が歌っていたはずだ。


これだっ!!!!これしかない!!!


SMAPの「夜空ノムコウ」は小学校の時に授業か何かで歌ったから、さすがの僕も知っていた。

「 だったら、夜空ノムコウSMAPと最初から書けばいいじゃないか」という人は、平気で初対面の女性に下着の色を訊いてしまう人だろう。


過去に学校で歌った曲を書くということは、「ウンパッパ」「マイバラード「魔王」などを記入することと同様、音楽の知識の無さを自ら露呈する自殺行為だ。それにいくらJ-POPを知らなくても、給食の時間に「お父さーん、お父さん、それそーこにー」なんて聞きたくもない。

 

もう時間がない。僕は急いでアンケートに記入した。
・曲名: 夜空ノムコウ
・アーティスト:スガシカオ


しかしながら懸念点は2つあった。


1つ目は、「アーティスト」とは歌手で合っているのか。
2つ目は、「スガシカオ」とは一体何者なのか。他に何を歌っているのか。いやそもそも、スガシカオってどこで区切るの?スガシ・カオ?スガ・シカオ?誰なんだ一体。

 

そしてとうとうタイムアップになり、アンケートの回収が告げられる。


案の定、前の席の男子が僕のアンケート用紙を確認してきた。


「岸くん、何書いた?!え?意外!スガシカオ好きなんだ??」


「うん、そうなんだよー!(こいつスガシカオを知ってやがる・・・そりゃ意外だろうよ。そんな話したことないからな。しかし今一つ、確かなことが分かったぜ。発音の区切りはスガシ・カオではなく、スガ・シカオだということだ。)」


「でも、夜空ノムコウってSMAPの曲じゃないの?」


「いやあ、スガシカオの歌ってるやつがいいんだよね!声が渋くてたまんないんだよねぇ!(スガシカオは一体どんな声なんだ?覚えてない。渋いという表現で合ってるのか?もうこれ以上つっこむな!てかスガシカオって誰やねん)」


「僕はスガシカオよくわかんないけど、そうなんだねえ」


「うん!なかなかいいよ!(きたぁぁぁ!!!こいつ名前こそ知ってたものの完全スガシカオ素人じゃねぇか!!!ビビらせやがって!!勝った!!!第三部完!!!!)」

 


こうしてアンケートは無事回収された。


僕の顔には生気が戻り、汗もいつの間にかひいていた。


そして僕は決意した。


今週はカウントダウンTVを見よう。

 


おわり